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フク、14歳で逝く。 [ねこ と いぬ]

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 14年前の冷たい雨の日に、勉強を終えて図書館から出た娘が、ずぶ濡れの捨て犬に出会ってしまった。生後3ヶ月くらいだろうか、獣医師の話では柴犬が少しと何代か前にはシェパードの血も入っているらしい。ようするに生粋の雑種である。私も家族も雑種犬が好きだから、それは問題ない。それよりも、前足にある深い傷に虐待を受けた気配がある、という話のほうが気になった。
 フク、雑種、14歳。7月27日亡くなる

 虐待の実体は知る由もないが、メスのその雑種は、やはりどこか人に怯える性向があった。ごくたまに、家族に向かっても犬勢症候群に陥ることもあった。虐待と症候群の因果関係は分からないが、そんなときは“出会う以前の飼われ方の問題”がつい頭をよぎった。

 決して、周囲から祝福されて誕生した犬でないことは確かだった。せめて名前だけでも幸せになるようにと「フク(福)」と名付けた。

 この数年は、もう、子どもの頃のように広い公園を駆け回ることもなく、ごく限られた範囲の散歩が唯一の楽しみだった。たまに犬勢症候群にハマルのを除けば、後から家族の一員になったネコ達とも、上手くやっていた。メスのせいか、小さな動物にはすごく優しかった。

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 この半年くらいで、急に衰えてきた。散歩の途中で走ることも少なくなった。カラダの中にも腫瘍ができ、獣医さんとも相談した。手術に耐えられる体力があるかどうか微妙なところ、少し様子を見ることにした。この時点で、すでに「来るべき時が来たら仕方ない」と覚悟を決めた。

 ひと月くらい前だろうか、日課の夕方の散歩の途中で、突然と地面に座り込んでしまった、というより倒れこんでしまった。それまでも、疲れたり自分の向かいたい先があったりすると、座り込むことはあった。ただ、それは一種の我が儘座りである。このときは違った。歩きたいけれど脚がいうことを聞かない、という感じである。家まで抱いて戻った。

 それからは、元気な日と具合の悪い日を繰り返しながら、なんとかそれなりに生きてきた。食欲もさほどには落ちなかった。
 調子の悪い日は、家の中の階段も登れなくなった。仕方なく抱くと14キロの体重がずっしりと重い。

 土曜日、人間たちは隅田川の花火見物。夜中に家に戻って、いつもよりはだいぶ遅い散歩に連れていった。これが、最後の散歩だった。

 日曜日、水を飲むのも億劫そうで大きなスポイトから水を呑む。それでも家人が大好きな鶏肉入りご飯を作っていると、キッチンの脇の壁にもたれかかりながら、様子を見ていた。他はともかく、衰えの少ない嗅覚だけが彼女を動かしていたのだろう。

 獣医さんのところへ連れていかなければ、遅くとも明日の朝には何とかしないと、、、

 その矢先、日曜の遅めの昼食を終えて、ふとリビングルームの一隅に横たわるフクを見ると、妙に静かである。いや、静かなだけではない。いつもは呼吸に併せて動くお腹も腰も、何も動かない。
 食事の前は、確かに息をしていた。横たわってうつらうつらと眠る姿は、この数ヶ月の、それが自然な姿だったので、とくに異常とは見えなかった。
 でも、確実に死は訪れていた。死後硬直も来ていないのに、カラダが硬くなっている。きっと、最後はかなり苦しかったのだろうと思う。声ひとつあげなかったけれど。

あっけない死だった。
衰え、病気を抱えているとはいえ、
まだ、一年くらいは大丈夫だろうと勝手に考えていた。
最後の介護の大変さも、そろそろ心の準備をしていた。

この数日は、かなり苦しかったのだろうと思う。
それでも、お腹が空いたときは昔と変わらず元気良く吠えた。
だから「最後」は、まだ先と、、、

ほんとうに呆気ない死だった。


明日、骨になります。
フクを家に連れてきた娘と、
そろそろ犬との付き合い方を覚え始めた孫達と、
それと私達で送ります。

*
 犬勢症候群と書いたが、それはごく稀にその兆しが現れる程度。普段は少し甘えん坊のごく普通の犬だった。それになにより、我が家を訪ねてくる人々が大好きだった。気持ちの通じた方々が来ると、たいそうな喜びよう。その歓喜の様は、いつもの家族の愛が薄いのでは?と、ふと思わせるほど。ともかく、大好きな人がたくさんいた犬の一生だった。

 フクを可愛がってくれた皆さま、ありがとう。







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カズ−

我が家の犬も、この9月で12歳になります。
最近足腰が弱くなってきて、あと何年生きてくれるかと
心配しています。

本当にご愁傷様です。

by カズ− (2008-07-28 20:22) 

YASH

私の実家にも同じ年齢の柴犬がいます。
たまに散歩に連れて行く時に走ってやると、こないだまでは張り合って私を追い抜こうとするようなヤツでしたが、最近はわずかに速足になる程度。
気の強さだけは衰えていないのが救いですが、確実にその日はやって来るんでしょうね。

フクさん、娘さんと出合った日から幸せな日々が始まったのではないでしょうか。
名前にふさわしい生涯だったと思います。

by YASH (2008-07-28 20:22) 

こぎん

ウチもついこの間のことだったので、涙なくしては読めませんでした。
最期・・・ず~と寝たきりで、似ています。
まだ、生きていてくれているか・・・朝、起きるのが怖かったです。

飼われているペットの大往生、福ちゃんは飼い主孝行をしてくれたんですね。
ウチもかな? 青森も行けないと諦めかけていましたから。
最期の最期、心臓止まった時のことが・・・忘れられません。
自分で書いた記事さえも、まだ、読めないし・・・写真を見るのも辛かったりします。

いつか、きちんと追悼の言葉を足していきたいのですが、
まだ、できそうにありません。
それぞれの記憶の中でしっかり生きていますし・・・
このblogの中でも生きていた証が残されているんで、blogも閉鎖できないです。

福ちゃんのご冥福、祈ります。天国で待っていてくれますね!

by こぎん (2008-07-29 17:57) 

東雲

愛する家族の死・・・
一緒に過ごした時間が長ければ長いほど、その思い出も限りなく
e-g-gさんやご家族の悲しみは如何ばかりかと・・・、
心中お察し致します。

でもフクちゃん、お嬢さんと出会えて、e-g-gさん家の一員として
深い愛情に包まれて過ごすことが出来て 本当に幸せだったと思います。

天国でも ずっとずっと幸せでありますように 心からお祈り致します。
by 東雲 (2008-07-30 11:05) 

sanjinsai

家の犬も死ぬ前はかなり苦しんでいました。
御冥福をお祈りします。
by sanjinsai (2008-07-30 19:08) 

anan

我生涯に、フクちゃんほど、来訪を喜んでくれた生き物はいません。

どこの家より、誰より、世界中で一番、歓待してくれました。

フクちゃん、ありがとう。ゆっくり安らかに。

ちょっと涙ぐんでしまいました。

by anan (2008-07-30 20:10) 

HEIJI

残念ですね。
でも、愛情を受けて幸せな一生であったと思います。

やっぱり死を考えると、自分はペットを飼うのは無理かな、とか思ってしまいます。

by HEIJI (2008-07-31 23:18) 

響

e-g-gさんの家に引き取られて
とっても幸せでしたね。
家族が亡くなるのは寂しいですが
生き物を飼う以上、かならず経験しないといけないことですよね。
by (2008-08-02 17:12) 

e-g-g

◎みなさま
心のこもったコメントを、ありがとうございます。

by e-g-g (2008-08-05 13:13) 

e-g-g

◎カズーさん
犬も足腰が弱ってくると、気力もなんとなく落ちてくるようです。
どうぞ、長生きをされますように。


◎YASHさん
フクは他の犬との付き合いよりも人間のほうが好きでした。
いろんな人に可愛がられて、
まぁ、幸福な一生だったのではないかと思います。

>最近はわずかに速足になる程度

これからの付き合い、大事にしてください。


◎こぎんさん
もう一週間が経ちました。
毎朝、起きると、いつもの定位置につい目が行ってしまいます。
生き物ですからね、寿命があるのは当然ですけど、
でも、こんなに早く目の前にそういった状況が現れるとは
思っていませんでした。

>最期の最期、心臓止まった時

これは、やはりショックです。
耳元で名前を大声で呼んでも、なにも反応しない。
死を納得せざるを得ない状況、これは辛いですね。


◎東雲さん
犬の子供時代のアナログ写真を引っ張り出して、
あぁ、こんな時代もあったのだ、、、
と、しみじみしたりしています。
まだなかなか、フクのいた暮らしから抜けられませんね。


◎sanjinsaiさん
苦しそうな犬を目の前にして、
人が出来ることは、ただ声をかけて体をさするくらいですね。
嬉しそうな顔を見ると、素直にありがとうと言いたくなります。


◎ananさん
人の好きな犬でしたが、
それでも相性というのはあるようで、歓待のしかたも様々。
ananさんとの相性はすこぶる良かったようです。
いろいろとお世話になりました。


◎HEIJIさん
犬もネコも、飼っているあいだは常に「死」のことを
考えざるを得ませんね。
それだけ、普段の付き合いが濃密になるのかもしれません。


◎響さん
可愛がられ大事に飼われるものから、
野に放り出されるものまで、
ペットの宿命は、人の接し方で大きく変わりますね。
せめて、
縁あって一緒に暮らし始めた生き物は、大切にしたいものです。


by e-g-g (2008-08-05 13:14) 

masa

フクちゃん、最後まで心配かけまいと頑張ったんでしょうね。
うちのオヤジも全くそうでした。
人も犬もおんなじ
たいせつな家族ですね
フクちゃんとの楽しい思い出は永遠 大切になさって下さい
by masa (2008-08-06 22:40) 

e-g-g

◎masaさん
コメント、ありがとうございます。
早いもので息を引き取ってから、もう十日が過ぎました。
なんだか、これからジワっときそうです。
by e-g-g (2008-08-07 21:19) 

berry

いつかは . . . 覚悟までもしてなくてもいつも心の隅にあります。
わたしよりスーさんの方ががっくりしそう。
「あと10年は生きる」が口癖だから。(今スマは8歳)

ワンコ仲間にもいろいろな生い立ちのワンちゃんがいます。
フクちゃんには幸せの女神が付いていたのね。
女神にも見捨てられて逝くワンコもいる中、フクちゃんはお嬢さんと出会った。
生まれ持って幸せなワンちゃんだったのです。その力が強かった。
e-g-gさんご一家をやさしく見つめてきました。

フクちゃんのご冥福をお祈りします。
by berry (2008-08-08 07:33) 

ラナ

こんなに家族に愛されて、フクちゃんきっと幸せだったことでしょう。
わが家にも、ワンチャンがいるのでいつかこんな日がやってくるだろうと
覚悟はしています。
by ラナ (2008-08-11 00:17) 

タックン

こんにちは。
初めまして。
淡々と綴られていることに 
深い悲しみが伝わってきます。
幸せになるようにの「フク」ちゃん
わが家も同じ意味を込めて
「フク」と名付けた猫を思い出しました。
出会ったことが幸せだったと思いたいですね。

by タックン (2008-08-11 11:03) 

e-g-g

◎berryさん
コメント、ありがとうございます。
“世の中には、お前よりもっともっと不幸な犬やネコがいっぱいいるのだよ”と、生前のフクによく話しかけていました。
(恩を感謝しなさいと言う気持ちじゃないですよ)
人の勝手で不幸に追いやられる生き物が多いですね、
関わった以上は最期まで真っ当に付き合いたいものですね。

◎ラナさん
コメント、ありがとうございます。
ペットと暮らしていると、常にいつかは?と考えざるを得ませんね。
そういったことを分かってしまう人間は不幸なのかもしれません。
彼等、彼女等は、すべてを素直に受け入れて生きているのですよね。

◎タックンさん
はじめまして、コメントをありがとうございます。
同じ「フク」と言う名前のネコちゃんですか、
ペットは、人にとってきっと「フク」なんですよね。

by e-g-g (2008-08-14 21:40) 

mamire

いつかは訪れる人覚悟を決めていても、心にあいた穴は、何を持っても埋めることはできないでしょう。
「フク」の名前にこめられた e-g-g 様家族の愛情に包まれて、幸せな一生だったと思います。

生きているうちにどんな接し方をしてきたかが一番大事なんだよ。

いつもそう思って、だれにでも相対することを考えています。

福ちゃんのご冥福、こころよりお祈りいたします。


by mamire (2008-08-14 23:04) 

e-g-g

◎mamireさん

我がままだったり気難しかったり、
犬もネコもいろいろですけど、
やはり彼等にとっても人は大切な存在(でしょう)。

>生きているうちにどんな接し方をしてきたか

いざ亡くなってみると、この一言が胸に迫ってきます。
by e-g-g (2008-08-21 15:59) 

barbie

生まれた経緯はともかく、e-g-gさんのご家族との出会いでその後の人生(犬生?)が幸せでよかったです。
最期の時の事は涙なしには読めませんでした。
今頃もう虹の橋を渡ってる頃ですね。
福ちゃんのご冥福をお祈りします。
by barbie (2008-08-27 23:55) 

井上酒店

ご家族だったフクちゃんが、天に召されたのですね。本当にご愁傷様でした。ウチの嫁さんの所も犬を飼っていて、僕も2度、死に直面しました。犬とはいえ、家族ですから、僕も本当に悲しかった思い出があります。でも今でも2匹の犬の写真は我が家でも飾っています。是非コレからも忘れずに居て上げて下さい。きっと天国で、思い存分飛び跳ねていると思いますよ。元気を出して下さいね。
by 井上酒店 (2008-09-09 23:00) 

e-g-g

◎barbieさん
コメント、ありがとうございます。
世の中には幸福な出会いに巡り会えなかった
犬やネコがたくさんいるんですよね。
“そういう意味では、オマエは幸せなんだぞ!”
と、生きているときはよく冗談で言ってました。
そのときのキョトンとした眼が、
いまは懐かしいです。

◎井上酒店さん
フクの散歩係の私としては、
毎日の夕方の散歩アワーの時間帯に、
ふと、思い出しますね。
もうすぐ四十九日です。
ちゃんと土に返してやらないと、と思ってます。

by e-g-g (2008-09-11 14:20) 

e-g-g

◎きぃ*さん
nice、ありがとうございます。

by e-g-g (2008-09-11 14:24) 

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